睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に、大きないびきとともに何度も呼吸が止まってしまう病気です。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたりに5回以上繰り返される状態をいいます。睡眠中に呼吸が止まってしまうのは、空気の通り道である気道が塞がってしまうからです。肥満、体重増加により、のどに脂肪が蓄積して気道が狭くなると、あおむけで寝ることで舌根(舌の根本の部分)が気道を塞いでしまいます。この狭くなった気道を空気が通るたびに大きないびきが起こり、気道が完全に塞がれたときに、無呼吸となります。睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方に多く見られますが、やせている人でも、下あごが小さかったり、扁桃が大きい、などがあると気道が狭くなりやすく、注意が必要です。女性より男性がやや多く、男性では40~50代、女性では閉経後に増えます。
睡眠中の無呼吸は、低酸素状態を引き起こします。このような無呼吸に伴う酸素状態が続くことで、日中の強い眠気、起床時の頭痛、倦怠感、気分の落ち込みなどの症状がみられ、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの危険な合併症を起こすリスクが3~4倍に高まることがわかっています。運転時の交通事故の原因として、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査は比較的簡単に行えます。ご自宅で検査機器を装着して睡眠時のデータをとることで多くの場合診断が可能です(精密検査が必要な場合もあります)。治療が必要な場合は、CPAP(シーパップ)と呼ばれる機器を使います。睡眠中にマスクを装着して空気を送り込み、その空気圧で気道を広げる装置です。CPAP治療は少し面倒に感じられる場合もありますが、睡眠中の低酸素状態を防ぎ、日中の眠気や倦怠感の改善も期待できる治療です。無呼吸の程度が軽い場合には、歯科でマウスピースをつくってもらう場合もあります。
問診、診察にて睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、簡易睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG検査)を行います。検査はご自宅で実施することが可能です(簡易PSG検査)。
検査結果に異常がある場合には、異常の程度により精密検査の実施や治療の開始を検討いたします(睡眠時無呼吸症候群の検査の流れ)。
軽症の場合は、寝る姿勢の工夫やマウスピースの使用を検討します。
中等症以上の場合は、CPAP(シーパップ)療法を行います(CPAP療法)。CPAP療法は寝ている間に気道の閉塞が起こらないように、呼吸をサポートするための機器を装着して行う療法です。治療には慣れが必要ですが、効果的な方法です。